子どもたちは自分の考えや気持ちを言葉にすることが充分にできないことが多く、子どものセラピストやカウンセラーはそこに難しさを感じることがよくあります。子ども中心プレイセラピー（Child-Centered Play Therapy: CCPT)は実証学的研究に基づいたユニークなカウンセリングのアプローチであり、そこでは子どもとセラピストとの関係性が治癒的変化をもたらす基盤となります。CCPTでは子どもとプレイセラピストとの関係性が治癒的要因と考えられているのです。そのような関係性は、セラピストと子どもの間の明確なコミュニケーションによって立つものであり、子どもによるコミュニケーションとは、遊びを通して行われるものなのです。セラピストに求められるものは、子どもの自由な表現と自主的な遊びの促進に必要なセラピストとしての姿勢や態度、そして子どもの発達に合った遊びやおもちゃ等の提供をすることです。安全な環境のなかで、子どもは自分のより良い成長を最大限発揮する方向に向かい、自分らしいあり方を実現していきます。
 
 このワークショップでは、子どもたちが自分の自然な言語である遊びを使って、自分のことを正確にセラピストに表現できるようにプレイセラピストが援助するための入門的手法を、ステップバイステップで参加者のみなさんにお伝えしていきます。ワークショップでは、子どもとの治癒的関係を作り上げていく過程について教示していく一方で、プレイセラピストがプレイセラピーを活用して治療目標を達成できるようになることを援助していきます。地域の機関や学校において、苦しみや困難に直面している子ども達に対してプレイセラピーをどのように効果的に行うかについて、ワークショップでは詳しく触れていきます。ワークショップでは、CCPTを行う治療的な手順について学び、CCPTスキルを体験的に演習する機会も得られます。
 

このワークショップを通して参加者は以下のことを学びます

1.  CCPTをどのように行い、そしてCCPTがどのような効果があるのかを地域の機関や学校において説明し実践することができる。 

2.  CCPTをどのように導入して実施するかを学ぶ。 

3.  CCPTのスキルと姿勢を身につける。 

4.  CCPTの歴史を学ぶ。 

5.  プレイルームにはどのようなものを置くのが適切なのかを学ぶ。

6.  制限設定の手順を学ぶ 。

講師：小川裕美子, Ph. D.
臨床心理士、RPT-S(Registered play therapist-Supervisor, APT)
CPT-S(認定プレイセラピストースーパーバイザー）
日本プレイセラピー協会理事
一般社団法人東京プレイセラピーセンター理事
New Jersey Association for Play Therapy President
Department of Counselor Education at New Jersey City University 准教授/学科長
訳書「虐待とトラウマを受けた子どもへの援助」「子どもと親の関係性セラピー」
「セラピストのための子どもの発達ガイドブック」
著書「Multicultural Play Therapy」